「怖くねぇよ、ばーかっ。」
「なっ‼」


こいつもこいつで、ムカつくなぁ。
ニヤつきながらこっちを見る和樹を軽く蹴って、咲に声をかけた。


「咲。このアホたちは置いといて行こっ。」
「うんっ‼」


相変わらず可愛いなぁ、咲。
腕を組んできた咲にそんなことを思いながら、クラスに向けて歩きだした。


「ちょっ、咲‼彼氏である俺をおいてくな、馬鹿‼」


そう叫びながら咲の隣りに走ってくる。


「はっ、俺をおいてくな‼お前らっ‼」


龍夜も叫びながら、私の隣りに走ってくる。
この四人でいるのが当たり前だから、誰も何も気にはしないけど、私は時々この龍夜の隣りが無性に悲しくなる。
幼馴染だから…ってだけで、隣りにいられるだけ。
そう突きつけられるから。
"ラブラブな幼馴染さんたち。"
彼氏でも彼女でもない…幼馴染という関係に嫌気が差す。
そうはいっても、この幼馴染という関係を壊す勇気も、離れる覚悟も出来ていない自分がいるから、どうにもできないんだけど…。
それでも、咲と和樹と見てると羨ましくなる。
付き合ってるっていう関係にどうしようもなす憧れる…なんて、馬鹿みたいだな…。


「翼?」
「翼、どうかした?」
「翼ちゃん?」


龍夜、咲、和樹の声で我に返る。


「え…あっと…なに?」