緑色の火は炎に変わり、やがて人の形になった。



青年にリエルを見て手招きしている。



「来て。」



暖炉のそばに行くと青年が、



「この人に見覚えない?」



「もしかしておにぃ?」



青年は頷いた。



「これはメモリーだ。生前あんたの兄さんが残したものだ。」



『リエル、俺だ。兄さんだよ。今、君の隣には例の青年がいるのだろう。リエル、呪いはまだ終わっていない。』



「そっそんな!!」



『呪いは本人が死んでも、その近親者に引き継がれる。』



『ごめんな、リエル。死んでも君に迷惑をかけて。』



「おにぃ…。」



『リエル、君はこれからたくさん困難に出くわすのだろうな。…でもそれだけたくさんの出会いがあるはずだ。その出会いを信じ、大切にするんだぞ。』



「うん」



『あっその青年はリエルが生きていくなかで必ず役に立つよ。』



『またな、リエル。青年、リエルを頼む。』



「ああ。」



おにぃの形をした炎は、おにぃが微笑むと静かに消えた。