しばらくすると、咲ちゃんが三つの花瓶を持って戻ってきた。
「これにいけとこ」
「りょーかい!」
「実里、花束ちょーだい」
清華ちゃんと咲ちゃんと夏希ちゃんで、花瓶に花束をいけてくれた。
「…っあ、もうそろそろじゃない?」
清華ちゃんが腕時計を見て言った。
「おっ、いよいよだな♪」
夏希ちゃんがうきうきと拳を握る。
「あたし泣いちゃうかもーっ」
「おーおー、いい迷惑だ」
「なによっ! 感動して泣くんだから全然迷惑じゃないでしょっ?!」
「隣でびーびー泣かれると困る。かなり」
「もう! 夏希ッッ」
そんな二人を見て、私は清華ちゃんと笑う。
「…実里ー、時間」
ドアがノックされたあと、ゆっくりとドアが開いた。
「…戸田くん……」
「行くよ」
「うっ、うん!」
戸田くんに手を引かれ、部屋を出る。
「実里ぃーーっ! おめでとーーっっ!」
振り返ると、清華ちゃんと咲ちゃんと夏希ちゃんが、ぶんぶんと手を振っていた。