谷口くんが私に近づいて手を差し出した。
「?」
…どういうことだろう?
「……バカお前。知らねえやつと握手なんするわけないだろ」
「えぇっ?! うっそーん。ショックぅ」
谷口くんは頬をおさえて泣く真似をする。
「相原くーん、慰めて〜」
「ぅわっ、こっちくんな、きっしょい」
谷口くんは相原くんを追いかけている。
………が、しかし。
「はーいそこまでー☆ 谷口、これ以上つきまとってたら相原に嫌われるよ♪」
結構小柄で身長も低めの山本くんが、自分よりも大きい谷口くんを取り押さえている。
「やまもっちゃ〜んっ、離してよぉ」
「誰が"やまもっちゃ〜ん"だ! お前仮にも男だろーが! へなへなしてんなっ」
「やまもっちゃんの鬼ぃーーっ」
「だからその"やまもっちゃん"やめろや」
私は、ただその光景を遠巻きに眺めることしかできなかった。
それは、隣にいる和泉くんも同じ。