"別れよう"




戸田くんの口からハッキリと発された言葉が、私の頭をぐるぐる回り出す。





「………え……と、戸田くん?」


『実里に言いたいのはそれだけ。じゃあ、人待たせてるから』


「戸田くんっ?!」




私の戸田くんを呼ぶ声は虚しく、戸田くんの耳には届かなかった。






…………戸田くん……?

どうして……?





ねぇ私、戸田くんに嫌われちゃったの…?


さっきの戸田くんの声は、すごく冷たかった。

全てを拒絶するみたいに……。






ねぇ戸田くん、どうしてーーーー…






私の目からは、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。



どうして、なんで?


そりゃ、睡眠を邪魔しちゃった時もあったけど、怒らずにちゃんと話してくれた。

いいよ実里だから、って言ってくれた。


今日は時差考えて、真夜中にならないように電話した。


人待たせてる中で電話しちゃったから?

でもちゃんと断ってくれた。






ーわかんないよ、戸田くん………。



頭回らない私には、わかんないよ…………







濡れた顔のまま、私はベッドに倒れた。