あれっ?

私の目、おかしくなった?!



なんで戸田くん滲んでるの…?!




「実里、泣いてんの」


「な、泣いて…?」




泣いてるんですか私?


てっきり目が突然変異したのかと……





次の瞬間、私は戸田くんの腕の中にいた。



「…え、戸田くん?」


「泣き顔見たら行きたくなくなるじゃん」




戸田くんはいつもよりも強めに、ぎゅーっと抱きしめた。




「なっ、泣いてません!」


「いーや泣いてる」



戸田くんはさらにぎゅーっと力を強めて、私の背中をさすってくれる。



その優しくてあったかい仕草に、私の心は安心しきっていた。




「…大丈夫です。戸田くん、時間じゃないですか?」



私がそう言うと、戸田くんは最後に私の背中をぽんっと叩いた。





「…ん、じゃ、行ってくる」


「はい。行ってらっしゃい。待ってます」




戸田くんは重そうな鞄をひょいと持ち上げると、私に顔を近づけた。




「おとなしくしてなよ」



そう言うと、戸田くんは触れるだけのキスをした。





私はしばらく、その大好きな人の背中を見つめて突っ立っていた。