しばらく歩くと、人通りが少ない道に入った。
「実里」
「はいっ! えっ?!」
戸田くんは急に、ブロック塀に私の身体を押し付けた。
私はその拍子に鞄を落としてしまった。
拾おうとするも、押し付けられていてしゃがめない。
「あの、戸田くん…」
「ちょっと黙ってて」
「んっ……」
戸田くんの整った顔が近づいたかと思ったら、甘く噛み付くようなキスをされた。
頭がぼおっとする。
やがて息苦しくなってきて、戸田くんの胸をどんどん叩く。
しかし、戸田くんはやめようとしてくれない。
ついに立っていられなくなって、私は戸田くんの腕にしがみついた。
それでようやく、戸田くんは唇を離した。
「と、だ、くん…」
肩で息をしながら、戸田くんに呼びかける。
「あんまり妬かせないで」
「…え?」
「和泉から聞いた。いくら女子でも、抱きつかせないでくれる」
……あ、朝のことだ。
てか、和泉くん言ったの?!
「実里に触れていいのは、俺だけでしょ」
そう言うと、戸田くんはぎゅっと私を抱きしめた。
「…あー俺、いつの間にこんな独占欲強くなってんの」
耳元で戸田くんが言うのが聞こえた。
私も戸田くんをぎゅっと抱きしめた。