長かった授業も終わり…。
「実里っ、かーえろ♪」
「うん!」
玄関で咲ちゃんに声をかけられ、その後ろから夏希ちゃんもひょこっと顔を出した。
三人で他愛ない話をしながら駅まで歩き、電車に乗り込んだ。
「今日松田がさぁー、授業中なんにもないところでいきなり転んだの! マジでウケたわぁ」
「うそうそっ? ほんと?!」
「マジマジ! みんな大爆笑ね」
夏希ちゃんが言ってる松田、とはいかつい感じのおじさん先生。
その話を聞く咲ちゃん。
笑われた先生、大丈夫かなぁ?
怪我してないかな?
『えー、次は○○ー、○○ー。お出口はー右側に変わりまーす。お降りの際はー足元に十分お気をつけくださーい』
…あ、次だ。
「実里、次でしょ?」
「あ、うん」
「実里可愛いんだから、襲われないようにねっ?」
「お、襲われ……? …森のくまさん?」
「うん、なんでもない!」
咲ちゃんと夏希ちゃんは二人して苦笑いを浮かべた。
やがて駅に着いた。
「じゃ、また明日ね♪」
「気ぃつけろよ?」
「うん! ありがとう」
私は電車から降りようと踏み出した。