「実里は今日も可愛いじゃんかよこんにゃろーう」
「なっ、夏希ちゃん?!」
夏希ちゃんが抱きついてくる。
「ちょっと夏希! あたしの実里になにすんのよっ」
すかさず咲ちゃんが夏希ちゃんを引き剥がす。
すると後ろから「朝から随分盛り上がってんな」と、呆れ調子で言う声。
びっくりして振り返ると、苦笑いする和泉くんが立っていた。
「和泉くん!」
和泉くんとは、大学一緒です。
「んでお前らも、戸田がいないからって岡田にくっついてると、あとがやばいぞ?」
「あっ、そうだった!」
「実里には彼氏がいるもんな!」
え、待って待って。
『あとがやばい』の意味がわからないんだけど………。
二人はわかってるっぽいけど。
和泉くんはそのまま走って、前にいた男子の頭をぱこーんと叩いていた。
「いてーよっ、バカ和泉!!」
「あー? 誰がバカだ?」
そんな会話を聞きながら、私は必死に考えていた。