電車内を見て、絶句。
「…あははーー…」
「す、すごいな」
こんな通勤通学ラッシュ見たことないです。
………私達乗れます?
「きっ、君達! ここに、乗りなさい」
呆然と立ち尽くす私達に、ドア付近に立っていた温厚そうなサラリーマンさんが声をかけてくれた。
周りの人に、すいません、と言いながら、わずかな隙間を空けてくれる。
「ありがとうございます」
戸田くんは私の手を引いて、サラリーマンさんが空けてくれた隙間に乗り込んだ。
なんとか、ギリギリセーフ。
いろんな意味で。
すると後ろから、サラリーマンさんが言った。
「君達学校でしょ? 大変だね」
私はドアに向いた顔を後ろに向けて、お礼を言う。
「いえ…ありがとうございます!」
サラリーマンさんの方が絶対大変なのに、優しすぎる心遣いに私は微笑んだ。
日本って素晴らしい!!!!!
「…じゃ、気をつけろよ」
「はい! 戸田くんもですよ」
「うん」
私の大学はここの駅を降りるけど、戸田くんの大学はもうちょっと先。
戸田くんの乗った電車を見送ってから鞄を持ち直して、ホームの階段を登った。