菖蒲は笑った。


「やっぱり、お店で

そう言われてるだな。」


「お兄さんは、調理チーフの

櫻井薫(さくらいかおる)さんの

旦那さんだよ。」


「何か言った?」


薫が、そう言って、お店からでてきた。


「俺と愛恵が、付き合っているって

お店の中じゃ言われているらし。」


「まあね。15も離れている

妹なんてあんまり見ないでしよ。」


「薫お姉さんまで」


「愛恵、気をつけて帰れよ。

明日は、いつも通りだよ。」


「今日は、薫お姉さんの

試作品をだす為だったでしょ。」


「あぁー。パイナップルケーキ

けっこう評判良かったよ。」


「じゃ、お疲れ様です。」


愛恵はそう言って先に歩いた。