「七瀬さんってさぁ、いつも1人だよねぇー」
「分かるっ!誰かといるとこ見た事なぁーい」
「だよねっ!!なんか…可哀想ぉー!!」

私は、こんな会話を始めて聞くわけじゃない。
今まで何回も聞いて来た言葉だ。

私は、いろんな人に感情がないと言われた。
確かに、人前で泣いたり笑ったり怒った事がない。
それに、私には仲いい友達なんかいない。と言うか、私には友達なんか必要ない。
だって、必ず必要って訳では無いはずでしょう?



私の名前は、七瀬玲奈(ななせ れいな)。
M高校に通う高校に2年。
さっきも言ったように、Mに友達なんかいない。
今日も1人。

どうせ家に帰っても、1人だし図書室によって帰ろ…
「ねぇー!4組の七瀬さんって知ってる?」
「知らなぁーい」
「凄く、冷徹で感情が無いんだって!」
「え!?まじで!!」
…またこの話しか。
まぁ、別にどうでもいいけど。
「もうしかして、この人が七瀬さん?」
さっき、話していた男子生徒が私を指さして、話していた。
「そーだよぉー。ってか!!本人いる前じゃんっ!!」
「へぇ〜…ねぇっ!!七瀬さん!感情無いとか言われてるけど、いいの?」
「…いいも何も、本当に私には感情はないから」
「そっかぁ…なら、俺が七瀬さんに感情って言うものを教えてあげるよ」
なんなの?
この人は…
「いいです。私に関わらないで下さい」
私は、ずっと1人ですごしてきた。
今更、友達なんて…
感情なんていらない。
いつかまた、思い出してしまう。
あの日の出来事を…

人間は、必ずしも誰かを見下したがる。
自分より下の人間を作りたいから。
下の人間は、上を見て絶望する。
自分より、上の人間には逆らえないから…

「なーなせさんっ!」
「…何」
ここ最近、私にひつこいほど話しかけて来る人がいる。
それは、コイツ中原健太(なかはら けんた)。
はっきり言って、うざい…
「何って何ぃー!!前言ったでしよぉー?七瀬さんが感情表現出来るように協力するって!あれ?言わなかった?…まぁでも、俺は七瀬さんと仲良くなりたいだけだよ?」
「いい。私は、1人が好きなの」
お節介…
コイツは、お節介だ…
「健太ぁー!帰るどぉー!!」
コイツは、いろんな人と仲良がいい。
きっと、この学校に知らない人はいないほどに。
だからと言って、私に話しかけてほしくない。
友達なんていらないし、コイツが嫌いだから。
「お呼ばれですよ?早く行けば?」
早くどっか行って。
このままコイツといると、余計な事まで考えてしまう。
コイツといたら、本当の私を見つけてくれる気がする。
だけど…
私に友達なんかいらない。
それは、ずっと変わらない事。
なんど言われようと、私はコイツと友達にならない。
いや…
なれない。