苺は、なんとなくここまでが龍二のシナリオのような気がしてならなかった。 なぜなら、保健室には誰もいなかったからだ。いつも絶対にいる先生さえいない。 「先生、今日は出張みたいだよ」 龍二が言う。言いながら彼は絆創膏と消毒液を勝手に取り出した。 「苺ちゃん、痛いから目を閉じててね?」 苺は言われた通りに目を閉じた。 擦りむいた鼻や頬に冷たい液がかかる。