暫らく、龍二は何も言わなかったが、
「…まだ怒ってる?」
不意に言った。
心臓が跳ね上がる。
「な、何の事…?」
誤魔化しても無駄だとはわかっていた。
だが、他に言葉が見つからない。
「確かに、昨日の事は僕が悪かったよ。でも、僕、困ってたんだ」
言い訳する龍二の口から、アルコール臭が漂う。
「何で」
「僕、苺が来るなんて知らなかったから」
ドキッ
今、龍二くんあたしのこと…呼び捨てにした?
苺は赤くなった顔を布団で隠した。
「プレゼントなんか用意してねーし。だから、どうしようって不安で、憂鬱になってたんだよ」