苺の言葉に困惑したのか


「どうして、って聞かれてもなぁ…」


 龍二が苦笑しながら頭を掻く。


「僕、苺ちゃんを困らせたくないんだよ」

「え?」


 困らせたくない、の意味がわからなかった。

 苺は龍二に困らされたことなどない。


「だって苺ちゃん、僕の人格が変わるといつも困ってたでしょ?」

「っ」


 苺は俯いた。

 そうだ。


 いつも、苺は反応に困ったりはした。


「僕、留学するまでは苺ちゃんの笑顔だけを見ていたいんだ」