「わかってる」


 頷いて龍二は苺に背を向けた。


「一応、今から荷物をまとめてくる。父さんも爺さんも気まぐれなんだ。いつ留学になるかわからないし、前日になって慌てるのも嫌だしね」


 彼の言葉に、ズキッと胸が痛む。


「そ、そっか」


 苺は声を振り絞った。

 それ以上は何も言えない。


 何かを話したら涙がこぼれるような気がしてならなかった。