「龍二くん、」


 苺は龍二を呼ぶ。


「うん?」

「遠距離恋愛になっちゃいそうなのって、いつなの?」


 龍二の顔が曇る。

 龍二は素直だ。だから、隠し事が下手である。

 彼の顔が曇ったということは、きっと苺にとって嫌な報告があることは間違いない。


「…夏休み」


 彼が暫くしてから言った。

 嫌な報告どころではなかった。

 もっともっと、一緒にいられると思っていた。
 遠距離恋愛が始まるのはもっと先だと思っていた。

 それが、もう二週間少しで始まるのだ。


「えぇ!?」