龍二は、父の部屋へ連れ込まれた。

 何の話をされるかは予想がつく。だが、あえて



「話って、何?」



 と聞いた。

 きっと、「苺ちゃんと付き合うな。お前たちは戸籍上兄妹なのだから」という答えが返ってくると思いながら。



「前に一度、話さなかったか」



 話されていたとしても、苺への気持ちが変わるわけない。

 龍二は、苺との交際を認めてもらおうと立ち上がろうとし――



「オマエの留学の話だよ」



 耳を疑った。