龍二の言葉に、亜由美は不機嫌そうに教室を出て行った。
「りゅ、龍二くん…皆が見てるよ…」
もともと、目立つのが苦手な苺としては教室にいたクラスメイト全員の視線を浴びるのはこの上なく恥ずかしいことだった。
「この際だから、オマエらにも言うけど、苺は俺の女だからな。文句ある奴は俺が潰す」
一人称は「僕」の龍二の厳しい口調（おまけに一人称が俺になっている）のせいで、クラスメイトは完全に脅されているような反応をした。
ただ、いつも龍二とつるんでいる男子は龍二を迎えに来ながら
「苺ちゃんの前で裏の人格出すなよ？嫌われても知らないからな…って、もう出てたけどな」
なんて言った。
知っている人は知っているらしい、龍二の裏の人格を。
