龍二の細い指が、苺の顎を掴んだ。


「…っ!!」


 苺は驚いて龍二を見上げる。



「…少しじっとして。少しでいいから」



 龍二の春風のように温かな声に苺は従った。


 一秒、二秒、三秒…。


 時間が過ぎていくのに、龍二は動かない。



「…あの?」


 苺は龍二を見上げた。