龍二の、苺の手を握る力が強くなる。


「りゅ、龍二くん!?」

「静かに。早く教室行くよ」



 そう言って、龍二は足早に校舎へ向かう。金持ちの息子なのに、予想外に龍二は足が速い。



「待ってよ!龍二くん、足速いよ!!」


 苺が言うと、龍二はクスッと笑った。



「苺ちゃん、それ…出会った時にも言ってたよね?」



 苺は記憶をたどる。そういえば、そうだったかもしれない。



 もう、龍二と出会ってからだいぶと時間が経っている。そのことが、苺には不思議だった。