「あ…」 「ちょっと口閉じててね、走り出したら話聞く」 奈々子はそう言うなり、アクセルを思い切り踏み込んだ。 瞬間、体が浮くような感覚に襲われる。 体感スピードは、絶叫マシン並とまでは行かないが、少なくとも高速道路を走行しても感じないくらいの速さだ。 「で、話ってなんだった?」 奈々子に聞かれ、苺はさっき話したことをもう一度言う。 「こんな朝早くからなんで――」 奈々子は一を聞いて十を悟ったらしい。