「あぁ、苺様ですね」


 自分の名前に様がつけられる日が来るなんて予想だにしなかった苺は照れくさくなった。



「門から中にお入りください」


 苺はキャリーバッグをもう一度持ち直し、車が二台、余裕で通れそうな幅の門をくぐった。



 この門は普通、車で通るのか屋敷までの道が異様に長い。



 おまけに上り坂だ。



 敷地内に上り坂をつける必要ないじゃない、と苺は思った。



 屋敷のドアの前に立つと、苺はどうやって入ればいいのか考える。