龍二はそう言って、部屋に入ってくる。



「…え?なんで数学なの?」



「決まってるじゃん。苺ちゃんが、数学苦手だからだよ」




 何故、知ってるの?苺は訝しげに龍二を見た。




「そ、そりゃ苦手だけど…。なんで知ってんの?」




「廊下に落ちてた」




 龍二がポケットから出したのは、零点だった数学の小テストだった。



 点数の横には、苺の名前が書かれている。



「み、見ないでよ、龍二くんのバカ!」




 苺の言葉に、龍二が笑う。




「苺ちゃん、真っ赤っか。可愛い~」