立ち上がった苺の手を、龍二が掴む。



「待てよ、俺も行くから」




 絶望、という文字が苺の脳裏に浮かんだ。




「な、なんで…?一人で行かせてよ」




「俺だって、怒られるのは嫌いなんだし」



 龍二が拗ねたように呟く。




「わ、私、先に行くから」




「俺から離れるな。俺が着替え終わるまで待ってろ」



 龍二はそう言って着替え始める。



 苺は慌てて彼から目を逸らした。




「…おい苺、顔真っ赤だぞ?名前の漢字どおり苺みてぇだけど」