「誰か来た!」
苺の言葉に龍二が舌打ちする。
「チィ…いいとこで邪魔しやがって」
文句を言いながら、龍二がしわくちゃになった服を手で叩きつつ、ドアを開けた。
「もう十時半でしょ、いつまで寝てるの」
ドアを叩いたのは、龍二の妹、真魚だった。
「なんだ、マギョかよ。邪魔すんなっつーの」
龍二がドアにもたれながら言う。
「マギョじゃなくて、マオなのっ!」
真魚はそう文句を言って、部屋に入ってくる。
「ごはん食べないと、お父さんが怒るよ?お父さんね、怒ると怖いんだ」
真魚の言葉に、苺は逃げる口実ができたと思った。
「お、怒られるの嫌だし、朝ごはん食べに行こうかな」