「龍二くん…?」


 そう呟き、それはないと苺は否定した。


 彼なら今頃は好きな女と一緒にいる筈なのだ。



「…苺、いんだろ!?早く出てこいよ!!早く帰んぞ!!」



 間違いなく、龍二の声だった。



 苺は胸を手で押さえながら、そっと玄関まで向かう。




「やっぱいんじゃねぇか」




 そう呟いた龍二の口から、アルコール臭が漂ってきた。



「龍二くん、酔ってるの…?」



「悪いかよ」



 龍二が玄関のドアに右手をつき、左手で苺の腕を掴んだ。



「ひゃっ」