龍二side


 龍二は苺の部屋を出て、一階にある洗面所に足を踏み入れた。



 部屋に置かれたドライヤーのコードをプラグに差し込み、電源を入れる。



 ゴォォォ…



 ドライヤーから吹きだす熱風が龍二の髪をなぶりながら洗面所を出て行く。



 ボサボサになった髪からドライヤーを退け、濡れた服にも当てて行った。



「…苺ちゃん、大丈夫かな…」



 不安になって呟く。



 部屋を出て行くときの苺の顔が、脳裏に浮かんだ。



 帰ってきたら、すぐに抱きしめよう。



 龍二はそう考えてニコッと笑った。