「どうしたの、苺ちゃん」



 馬鹿は風邪ひかない。



 その言葉が苺の脳裏に浮かぶ。




「龍二くんが濡れたままハグしてくるから…くしゅんっ…私、びしょ濡れなんだけど」



 苺の言葉に龍二は困ったような表情を浮かべた。



「え?僕のせい?」



 苺は頷いた。だが、余計に龍二の腕の力は強くなっていく。



「だから、離れて?」



「苺ちゃん、これ以上苺ちゃんが風邪ひかないように僕があっためてあげるよ」