「そうじゃなくて!!龍二くん背が高いから、届かない…」




 苺が言うと、龍二が腰を曲げた。





「これで届くかよ、チビ」





 チビ、という言い方に少し苛立ったが、苺は何も言わなかった。そこで文句を言って龍二の機嫌を損ねたら、間違いなく襲われるだろうと思ったからだ。




「…うん…」




 苺は龍二に顔を寄せた。




 龍二の首からシトラスの香りが漂う。