カラカラと小さな効果音を聞きながら引き戸を開ける。



昔の病院の引き戸に比べたら今は随分と優しい音がするもんだと施設の改良にちょっと感心。



施設の設備について意見を述べるなんて俺みたいな馬鹿がやると一層馬鹿らしく見えるようなことを一通り心中でやり遂げた後に、いつも通りベッドの背にもたれ掛かる少女の姿を見つける。



夕焼け空が映り込んだかのような茜色のベッドに、似合わぬ青空色のiPodを無造作に投げただけの、まったくもって面白味のない殺風景な病室。



そしてこの部屋の主だがなかなか俺の声を聞けない不安が顔に表れてるぞ那々チャンよ。



そんなに俺が恋しいのか、まったく仕方のない友人だ。



お望み通り、声を聞かせてやろうじゃないか。





「やっほー、那々チャン」