<tomoya>



空「それで弟は遊ばれたのは恥だって.....もうみんなに合わせる顔がないって.....1年前から引きこもってるんだ。」




坂下君の弟.....



坂下由紀



町田道場の初段の子



僕のせいで引きこもり.....



叶「那哉、この話....」



『ホントだよ....。でも遊んでない。戦わなかったのは.....お父さんに初段相手に本気はだすなって言われたから。僕はお父さんに認められるために武道をマスターして中学生の時は武道一筋だった。僕は"女は作るな。常に平常心を保つために集中力を切らすような女はお前には必要ない"だの"お前は他人と関わらなくていい。家の風紀を取り乱すな"だのお父さんに教えつけられてきて、中学生のときの僕にはお父さんに認められるためならどんな厳しい練習でも、どんなに難しいことでもいつもお父さんのためだって思ってた。』



叶「那哉....」



『でも、それは違うって去年の試合で気づいたんだ。由紀は道場の仲間に声援をもらってるのに僕は他人と関わりなんてなかったから応援なんてなかったんだ。由紀がうらやましくて、笑ってたら僕にも仲間ができるかも知れないって。試合の時の僕は笑顔なんかじゃない。ただみんなが羨ましくて涙を我慢して歯を食いしばってただけ。そうやって考えてたら終了ホイッスルがなる20秒前で、お父さんに縛られてちゃダメだって、お父さんに引き分けにしてあげなさいって言われたけど、そんなんじゃ僕のためにも由紀のためにもならないって気づいて本気をだした。』



叶「.......」



『その後お父さんに呼び出されたけど、初めてお父さんに対抗して話したんだ。あの時すごくスッキリしたよ。それからよく笑うようになって女子からも人気がでるようになってきた。全部....全部由紀のおかげなんだ。初段と5段の戦いでも一生懸命で、みんなからたくさん応援してもらって仲間がほしいって...。』



叶「それを.....それを伝えなきゃ、また後悔するよ!」



叶斗の言うとおりだね。



ガチャっ



僕は坂下君に伝えるために屋上にでた。