「純粋なんだな」
俺は、ミズキの話に素直にそう思った。
ナツに求めた純粋がミズキと重なり、少し…戸惑った。
コンコン―。
カラオケ部屋の扉をノックする音がミズキの言葉を止めた。
「あ!リエかな〜?」
ミズキはそう言って立ち上がろうとしたが、入って来たのは、
先ほど注文した、カシスオレンジとカルアミルクを持ってきた店員だった。
テーブルの上に置かれたグラスに、ミズキは、
「どうも」
そう言って軽く頭を下げて、
俺の前にカシスオレンジが注がれたグラスを差し出した。
二人はグラスを手にとり、乾杯をしようと目線の高さまで上げた。
「何に乾杯?」
俺は笑いながら言った。
「出逢いに」
ミズキは臆面もなくそう言って、
互いのグラスを静かに鳴らし合い、乾杯した。
度数の弱いアルコールも、狭い部屋の空間と、薄暗い空気に、
俺の喉を刺激し、一気に体中に浸透した。