俺はミズキの慌てる行動がとても不思議で、疑問を感じた。


「…何の御守り?」





「恋の…御守り」


言葉とは裏腹に、ミズキは優しい恍惚とした表情でバッグの中にしまったソレを見つめていた。


ドキリ…


その表情に無情にも俺の心は音を立てたけど、

胸を抑えて俺は、落ち着かせるように、小さく息を吐いた。


「恋してるんだ〜。

片思い中なの?」


意外に純粋な子なんだと俺は思って、いじらしくなって優しくミズキを眺めた。

意外に、って言うのは、見た目はどちらかと言えば清楚ではなく、今どきスタイルだから……

髪もオレンジがかった色だし、爪も綺麗に装飾されて、化粧だって決して濃くはないけど、キッチリしてる。



「恋を探してるの」


独り言のように言ったミズキは、

特に俺を見るでもなく、ワザと視線を外してるのかとさえ思わせた。


探してる?
探してるって言うのは面白い表現だな…

普通は御守りなんて、成就を願うもんなのに。


「いつから探してんの?」


何て、デリカシーのない発言だろう。
そう思ったけど、俺は敢えて、

"恋を探してる"と言ったミズキの言葉に乗っかった。