そして俺とミズキは、カラオケボックスの店内に入ると、受付を済ませ、二階へと続く階段を並んで上がった。
…これって、端から見れば、カップルにしか見えないんだろうな…
俺はそう思って、キョロキョロと店内を見渡した。
「どうしたの?」
ミズキは俺の行動に対して、同じように俺の視線の先を見た。
「いや、何か知り合いがいた気がして…」
知り合いがいたら困る。大貴なんか居たら特に困る。後で職場で何言われるか分かったもんじゃないから。
部屋は、16号室。
俺はレシートを確認して、部屋のドアノブを回した。
後ろにミズキがいる事に違和感を感じながらも部屋に入った。
室内は、4畳あるかないかぐらいの狭いスペースで、何故か四方の壁は鏡張りだった。
鏡を張り巡らす粋な事する前に部屋を広くするべきじゃないのか…?
俺は、ミズキと…いや、大して親しくもない女の子と、こんな狭い密室にいる事に少しだけ動揺していた。
だけどその動揺は見せない。
だって俺、男だから。