でんでん虫が居てね、


少し雨が降る日だったけど


友達と夢中になって探した。


それもでんでん虫そのものじゃなく、


でんでん虫が居た『跡』。


彼女は生物学者になりたいと言っていたけど、


なれただろうか…。


私より半分の背丈しか無い


そして、少なく柔らかな髪を目一杯伸ばしていて、


誰より足が速かったあの娘。


身体が小さい分だけ大きな幸せのゴ−ルは、


切れただろうか…。


とても狭い家に住んでいて


『貧乏』を理由にバイキン扱いされてたTちゃん。


私はあなたをいじめた男子共を


多摩川の土手で追い掛け回したけど、


私が怒る理由を、


「普通」というものが当たり前だった彼らには


理解出来なかったみたい。


私が転校していく時文集で


「もう追い掛けるのはやめて下さい」


と、何人かの男子に書かれた。


でも、うちの母が働きに出ている時


寂しくて、


Tちゃん宅にお邪魔するのが大好きだった。


私は母の仕事場に遊びに行くには


凄くややこしい道順を越えていかなければ


辿り着けないと思っていたので、


というか…


閑静な住宅街は区画整理されてて


迷路みたいに同じダンジョンが出て来て


実質的にも辿り着けなかったので、


「待つ」しかなかった私としては、


凄く有り難かったんだ。


彼女はお姫様の塗り絵が好きだったけど、


「人生」という塗り絵は


あのお姫様の様に


ロマンチックに艶やかに、


輝いているかな…。