更に、悪い事に、


この大病院では「産科」と


「婦人科」が同じ場所で


あちらは喜ばしい人ばかりなのに、


どうして自分は…


という気持ちになるらしく、


言われてみれば当然で、


病棟には赤ん坊の声が響き渡っていた。


友達も昔この病院で出産して


何度かココには来た事が有ったけど、


まさか自分がこういう形で


この場所に来るなどとは思ってもなかった。


母は「Babyが、Babyが」と言って笑ってたけど、


内心、本当に悔しかったと思う。


私が仕事帰りに病院に寄ると、


無理して、点滴を持ちながら「運動だから」


と言って、休憩所まで歩いて来てくれたけど、


痛みもまだ続いてるし、


なにより、


母が家でまったりしている時によくしていた


「ふたつ結び」に髪の毛を縛っている所が


もの凄く切なかった。


病室に帰っていく母の後ろ姿が


「家でくつろいでいた時の」母のふたつ結びで


ふらふらと歩くその姿に、涙が出た。





あの後ろ姿は今でも忘れられない。


お母さんをあんな場所にひとり


置いてくるのが辛かった。