「俺、理事会のパーティーでカミさんに一目惚れ。で、後で親父に頼んで席を設けてもらって付き合って結婚。だから参考になんねーなー…なんだ?見合い嫌なのか?」

「当たり前だよ」

「お前、彼女とかいるのか?」

「いや…」

彼女ではない…けど…

「ちゃんと話せばわかってくれるよ…親父も、先方も。お前が誰が想ってるんだったら、意味ないんだし…」

「うん…」

話せばわかる…

何を?

俺が小田切を好きだって?


そうだな…俺はあいつが好きなんだ。それは変えられない事実で、小田切が俺をどう思っていても、見合いなんて出来ない

このままじゃ、俺は誰も幸せには出来ないんだ…

「サンキュー!アニキ…」

「あの親父も、恋愛結婚だ。大丈夫、わかるから」

「ああ、じゃあ、また」

小田切の事は全部片付いてからにしよう…

全部片付いたら会いに行こう!

俺が想ってきた気持ちを伝えるために

見合いが終わったら…





しかし、俺は忘れていた。相手の婚約者が、俺を調べる女だったということを…
俺は彼女の策略により、見合いを終わらせることが出来なかった……

頭には『運命』が流れた…