「ごめん…」

俺は全く抵抗しなかった彼女の手首を離し、彼女から離れて立ち上がった

「ポーチ、届けたかっただけだから…」

まだ体制を変えない彼女の顔を見ないで、俺は言った

見れなかった

「どうして止めちゃうの?いいって言ったじゃん!」

小田切…

俺は彼女に背を向けた

泣かせたい訳じゃない…無理矢理したい訳でもない

ただ、幸せな顔にしたいだけだった…

楽しそうに笑う姿を見ていたかった…

「してよ、先生!抱いてよ!…嫌いになったの?こんな事したから?ねぇ先生!さっきみたいにしてよ…」

泣き崩れる彼女に申し訳ない気持ちと、彼女を信じられない気持ちで複雑になった

「…ごめん」

俺はただ謝った

どんな気持ちでそんなことを言うんだろう…

もう俺にはわからない

小田切がわからない…

俺はそのまま教室を出た

俺に好意を向けた小田切

俺を試していた小田切

抱けという小田切…

俺の行為に泣く小田切…

どれが本当なのかもうわからない

大人げなく泣いた少女を放ったらかしにするほど、俺は動揺していた

自分すらわからなくなっていた