「…はい、じゃあお約束通りにお願いします。私もそろそろこんな事は終わりにしたいので…」

…それって…報酬の話…?

ちょっと待て!!小田切は俺を調べていたのか?

本当に!?

誘惑してなびくのかどうか試していたのか…?

俺には婚約者がいて…、小田切が…俺を…

婚約するに相応しいか…


じゃあ今までのはコンビニの仕事で、俺にやった事や話していた事は全部…嘘?

いや、まさか…

こんな高校生が、大人を簡単に騙すなんて…

そんな訳無い…


そんな事、あるワケがない!

俺は確かに動揺していた…

「…せ、先生!」

電話を切った小田切が、入口で立ち尽くしている俺を見つけてア然としていた…

「ま、まさか今の…」

「どういうワケか、説明しろよ」

俺の声が明らかに怒りを持っていた…

冷たい俺の声に、小田切も明らかに動揺している

「俺を調べていたのか?」

小田切はしばらく黙っていたが、渋々と首をたてに頷く…

俺は愕然としてしまった…

小田切は俺に嘘をついていた…

俺に好意があると

嘘を…

「依頼人は誰だ?」

小田切が観念したみたいに目を閉じた

「婚約者…」