私と滝先輩は電車通学だ。

この学校に電車で通う生徒はそう少なくないのだが、
何故か今年の吹奏楽部には電車通学の生徒が私と滝先輩しかいない。

学校から駅までは約15分。

そう遠くもないが、練習が夜遅くまである吹奏楽部。

もしもの場合を考えて、電車通学の生徒は固まって帰ることになっている。

街灯もまずまずの薄暗い道を二人で歩く。


「滝先輩、滝先輩っ」

「なんだよマナミ後輩」

なんだかんだ言って、先輩は私の話をきちんと聞いてくれる。


「私のクラスの由里子がね、先輩カッコイイ~って言ってたんですよ」

「…そうか」

先輩は別段嬉しそうな顔をすることなく、そう一言言った。