「......な.....に.....言って...んの....?」
「あの.......
すいません......
ほんとに.....
分かんなくて........
初めて......お会いしますよね?」
........何で......?
何で....
何で....
昔......いっぱい遊んだじゃん....
もしかして........
「あの日の約束も....
忘れた....?」
......俺が10年間
ずっと覚えていた
あの約束......
「.........
約束?」
......君は......
覚えていなかった......
俺のことも
約束のこともーーーー......
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「それにしても直くん!
いい男になったじゃなぁい?ふふ」
「紗英ちゃん達が最後に見たのは6歳だからねぇ.....」
紗英さんと母さんがそんな会話をしている中、
俺はただぼーっとしていた。
...つばきが俺のことすら覚えていなかったことが....
信じられなくて...。
つばきは目の前に座り
チラチラとこっちを見ていた。
そして
ついに口を開いた。
「お母さん?」
「何?つばき」
「直くんってだぁれ?」
「「え!?」」
紗英さんも母さんも
かなり驚いている。
.....そりゃそーだ。
だって俺とつばきは
毎日毎日遊んでいて、お互いに大好きだったんだから。
「つばき?
直くんって言ったら直くんよ?
目の前にいる直紀くんのことでしょ」
紗英さんはつばきに言う。
でも、
「.....え......?
この人......が......直くんって言うの?」
つばきは俺を不思議そうな目で見ていた。
「もう!
昔、お隣に住んでて毎日毎日遊んでた、つばきの大好きな直くん。
あんまりイケメンになっちゃって
分かんなくなったのかしら?」
「私......
この人と会うの初めてじゃない?
小さい頃....
遊んだ記憶なんて無い....」
.....俺は.....涙が出そうだった。
本気なんだ......
本気で覚えていない......
「.......つばき......
もしかして.......」
紗英さんはそこまで言うと
手で顔覆った。
そして.....
「.....あの日の事故で.......
直くんとの記憶も失っていたの.....?」
そう言った。
.......‘’あの日の事故‘’......?