…昔の記憶…








「おい、結衣!かくれんぼじゃねぇんだから早く出てこい!」



「お兄ちゃん。」



「結衣、ふざけるのはやめろって。」



「あたしイヤだよ?お兄ちゃんが留学しちゃうなんて。」



「………。誰に聞いた?」





低い、低い威圧感のある声。それでも怯まないのはあたしも同じようなものだから。





「お兄ちゃんが行かないって言うのなら教える。」





お兄ちゃんはチッと舌打ちを溢して、あたしを見た。