渋谷も久しぶりだなー。
いつも人が多すぎてうまく歩けないこの街に来るのはいつぶりだろう?
高校時代は毎日のようにこの街で遊んでたっけかな。


センター街の変わりように目を見張りながら歩いていた、その時だった。



「ねえ!ねえってば!シン!」


ゴツンッていう衝撃と共に懐かしい顔が見えた。


「うわ、ナミ?久しぶりだなっ」

「ほんっとに!偶然!たまたま仕事の合間に雑貨見に来たら随分なイケメンが歩いてて目に止まったのよ」

そう言うとナミは嬉しそうにクスクスと笑った。

「なんだよそれ。やめろって」

「そうだ、時間あるならお茶でもしない?あ、もしかしてデートだったりする?」

「彼女なんていねーよ。じゃあ、あそこのスペイン坂登ったとこにあるカフェは?スコーンとか美味しいんだよ」

「きーまり!」


まさか久しぶりに来た渋谷でナミに会うとは。
俺と別れてもう5年になるだろうか。
すっかり伸びた髪が揺れ、今ではエリート弁護士だ。駆け出しだと彼女は言うが、すでに才能は光りはじめている。彼女の自信からくるハツラツとした雰囲気に惹かれていた。