階段を降りて行くと、コーヒーのいい匂いがしてきた。

「おはよ、母さん」

「おはよう、雪那。コーヒー飲む?」

母さんは俺に微笑んだ。

「ん。飲む。」

俺は椅子に座って、まだ少し眠い目をこすった。

「はぃ。どーぞ」

「ん。ありがと」

「そーだ。今日久しぶりに学校行くんでしょ」

「あ、うん。そーだけど…」

「そーだと思って、シャツにアイロンかけておいたわよ」

母さんはウフフと笑って、出しっ放しのアイロン台を指差した。

ささいなことかもしれないけど、凄く嬉しかった。

「ありがと」

「いぃえ♪」

俺は、まだ少し温かいコーヒーを飲んだ。