ピピピピピピピピ……カチッ。


俺は、目覚まし時計を止めた。

今は午前7時半。

ベッドに腰掛けて、部屋の窓から見える桜の木を眺めた。

その木のまわりで、小鳥達が気持ち良さそうに飛んでいる。

「・・・今日も見られた。」

いつもと同じで、ホッとした。

桜の木はまだつぼみだけで、すこし淋しい。

「おまえ・・・いつ咲くんだよ」

その瞬間、ケータイに電話がかかってきた。

「…もしもし?」

「『おはよ雪那(せつな)!!もぅ起きた??』」

朝から元気がよすぎる声。咲楽(さくら)だ。

「…おまえのデカイ声で目ぇ覚めたわ」

「『そ??…ぁ、今日だよね!学校来るの』」

「おぅ。午後から行く。」

「『おっけ!!待ってるね〜♪♪』」

「んー」

俺は【通話終了】のボタンを押した。