けっきょく、僕は矛盾ばっかりだ。

息をめいっぱい吸って叫び散らすように開き直るけど、僕は加奈のことが好きだ。

自分から離れた瞬間、魂まで一緒に手放したような喪失感を味わう、大事な存在。

僕の大好きな女の子。

思えば、僕はずっと加奈といた。

加奈もずっと僕のそばにいてくれた。

僕がひとりで本を読んでいた時、「ひとりじゃさびしいでしょ?」と、自分はあまり読書に興味がないくせに、ずっとそばにいてくれたのは、加奈だ。

僕が傘を忘れて出かけた時、わざわざ母さんに行き先を訊いて傘を持ってきてくれたのは、加奈だ。

小さい頃、膝をすりむいた時に「いたいのいたいのとんでけー」とやってくれたのも、加奈だ。