「ほえ? なにが?」

と、取りいだしましたるそれらを装着しながら西村さん。

「なに、なんの話? え、なあに?」

「だから、善紀にどうしてここに来てもらったか、説明してないの?」

「してないよ」

「なんでまた」

「だって~、説明して渋られたら私、ヨシくん引っ張ってこれないよ? これでも私、かよわ~い女の子なんだから」

よく言うよと思った。

部屋での会話が一段落ついた時、西村さんはわけも話さず僕を立ち上がらせた。

腕を掴んでぐいっとだ。

しかもそのまま、「おばさまー、ヨシくん借りていきまーす」と声高らかに僕を拉致し、

ぐいぐい、ぐいぐい、あぐいぐいとここまで連行したのである。

とても、かよわ~い女の子のやり方じゃあなかった。

威勢がいいという大阪のおばちゃんもびっくりの強行だった。