俺が生まれた時から
穂乃香は傍に居た。
俺の両親と穂乃香の両親は
高校からの付き合いで
家族ぐるみで仲がいい。
穂乃香の家は
俺の真向かいにある。
そんな環境だったからか
小さい頃から穂乃香は
俺の母さんのことを
美子さんって呼んでいる。
チャリのかごに鞄を入れ
振り向くと穂乃香がいた。
「ほら、鞄」
手を出すと穂乃香は鞄を渡す。
そしてその鞄もかごの中へ入れ
チャリにまたがった。
後ろに乗った穂乃香が
俺の腰に手を回す。
「じゃ、行きますか!」
「いってらっしゃーい」
ペダルをこぎ始めると
玄関の外に出てきた
母さんの声が聞こえた。