「今日ね、数学の時間にね…」 1日の出来事を笑顔で話す穂乃香。 それをただ聞いている俺。 いつもと変わらないのに やはり違和感を感じる。 穂乃香が気を遣っていること。 一生懸命な作り笑い。 社会科の話をしないこと。 …太一兄の話をしないこと。 全て、俺は気づいてた。 そして… 穂乃香が黙った時に 一瞬見せる素顔。 それは切なそうな顔をして どこか遠くを見ている。